改正建築物省エネ法とは?    

 温室効果ガス排出量の削減目標の達成等に向け、建築物市場を取り巻く環境を踏まえ、住宅・建築物の規模・用途ごとの特性に応じた実効性の高い総合的な対策を講じることを目的に、「改正建築物省エネ法」が令和元年5月17日に公布されました。その後、説明義務制度と地方公共団体の条例による省エネ基準の強化が令和3年4月に施行されました。

1.説明義務制度  【戸建て住宅】

 300㎡未満の小規模住宅・建築物の設計に際して、建築士から建築主に対して、省エネ基準への適否(※)及び適合しない場合の省エネ性の確保のための措置の説明を行うことが義務づけられます。
 
2.届出義務制度 【マンション】

 300㎡以上の住宅については、着工日の21日前までに、省エネ計画を所管行政庁に届出る必要があります。

 ※省エネ基準への適否とは?

  エネルギー消費性能基準には、外皮性能と一次エネルギー消費性能の2つがあり、全国の市町村ごとに定められた地域区分により、基準値が決められています。 外皮とは、天井(屋根)、壁、床(玄関土間床含む)、開口部等です。
 
 例えば、一戸建住宅(木造)における省エネ基準への適否の計算方法は、 当該住戸の外皮面積を用いて外皮性能を計算 する「標準計算ルート」、当該住戸の外皮面積を用いらず外皮性能を計算 する「簡易計算ルート」、モデル住宅型の「簡易計算ルート」の3種類があります。 

  (例)外皮基準の計算方法  

(外皮ごとの)熱貫流率(壁体などを介した2流体間での熱の伝えやすさを表す数値) に外皮の表面積温度差係数を乗じて計算します。 土間床や基礎断熱の場合は、熱貫流率ではなく線熱貫流率に変わります。

  (参考資料) 国土交通省HP掲載「建築物省エネ基準の概要」 

建物価格の仕組みとは?

中古住宅の価格は耐用年数から逆算されます。国税庁によると建物耐用年数は木造では22年、鉄骨造では34年、鉄筋コンクリート造は47年となっています。

主な減価償却資産の耐用年数表

11年前に1500万円で新築で木造住宅を建てた場合は単純に計算すると、

1500万×(22-11÷22)=750万円

になります。建築後22年が経過すると価値がゼロということのなります。

ただ、上記は税務上での取り決めであり、建物の寿命という意味で考えると実際に建物がどのくらいもつかの判断は難しいところです。

農地の取り扱いは?

農地の取り扱いには注意が必要です。

農地は、農地法が適用され許可や届出が必要となるため自由な取引や宅地ができないようになっています。

また現況が農地であれば登記簿の地目にかかわらず農地と判断されます。

●農地を取引する場合

  • 農地を農地として売買→農地法第3条の許可(市街化区域内であっても許可が必要になる)
  • 農家が自己の農地を宅地化する→農地法第4条の許可(市街化区域の農地の場合、届出で済む)
  • 農地を宅地化するための売買→農地法第5条の許可(市街化区域の農地の場合、届出で済む)

休耕地や耕作放棄地など農地かどうかが不明な場合は農業委員会できちんと確認を取るようにしましょう。

空き家問題 とは?

現在空き家の問題となっているのは賃貸住宅や二次的住宅ではない住宅のことで以前は住んでいたが何らかの事情で住まなくなり放置されている状態のものです。こうした問題に対応するため2015年「空き家等対策の推進に関する特別措置法」(空家特措法)が施工されました。

空き家等対策の推進に関する特別措置法(空家特措法)とは?自治体が「特定空家」と認定した上で所有者に修繕などを勧告したが修繕や解体などがされない場合、自治体の行政代執行による強制撤去が可能となります。空家の認定基準は以下の通りです。

1.倒壊など著しく保安上危険となる恐れのある状態

2.著しく衛生上有害となるおそれのある状態

3.適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態

4.近隣の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

などの空家になります。

特定空家への自治体の対応は以下の順になります。

①特定空家に認定→②指導・助言→③勧告→④命令→⑤行政代執行

と段階的対応になります。

③勧告を受けた場合、固定資産税・都市計画税の「住宅用地特例」から除外され、従来の納税額から固定資産税は6倍、都市計画税は3倍になるので注意が必要です。

耐震 ・免振 ・制震 構造とは?

耐震構造は、柱や耐震壁などで建物自体の強度を高め地震のエネルギーを建物の硬さと強さで受け止める構造です。よって地震の規模により柱や梁、壁が損傷する可能性があります。また建物の揺れは他の構造より大きくなる場合があります。

免振構造は、建物と地盤の間に積層ゴムとオイルダンパーなどの免振装置を設置することで建物と地面を切り離し建物自体の揺れを軽減する構造です。揺れを抑制するには一番効果がありますがコストが高く、敷地にある程度の広さが必要となります。

制震構造は、建物内に地震の揺れを吸収する制振装置(ダンパー)で揺れを制御する構造となっています。壁の筋交いに制震ダンパーを設置するようになります。耐震構造と比べ地震の揺れを小さく抑えることができます。また改築時より新築時にダンパーを組み込む方が良いとされています。

尚、現在では建築技術の進展により既存建築物でも基礎や中間階に免振層を設置し免震化させることが可能となっています。

建築物とは?(鉄骨鉄筋コンクリート造)

鉄骨鉄筋コンクリート造は、その名の通り鉄骨と鉄筋・コンクリートを組み合わせた構造で、鉄骨に鉄筋を配筋し、その周りに型枠を組みコンクリートを流しこみます。Steel Reinforced Concreteを略してSRC造とも呼ばれており、地震の多い日本では特に発達した構造と言えます。

メリットは以下となり、 SRC造は高層建築物や大空間に多く採用されます。

  • 他の構造より強度が優れているので柱を少なくすることができ大きな空間を作ることができる
  • 鉄骨の周りを鉄筋とコンクリートが覆っているため耐火性が高い
  • 鉄筋コンクリ―ト造より耐震性が優れている
  • 木造や鉄骨造より防音性が優れている※
  • 強風など外部からの耐性が強い

デメリットは、以下となります。

  • 構造が複雑なため部材が多くなる
  • 部材の組み合わせにより柱や梁の寸法が大きくなる
  • 施工が複雑になり長期間の工期が必要となる
  • 建築コストが割高となる

ちなみにコンクリートは打設後、3時間~12時間の間に大きな地震があった場合、強度に影響がでると言われています。

※防音性を売りにする場合には、壁の厚さは200mm以上ある方が良いとされています。

建築物とは?(鉄骨造編)

鉄骨造とは、鋼材を組み合わせて骨組みを形成する構造です。

鉄筋コンクリート造などと比べ軽量で、耐震性に優れていますが加熱に弱いため耐熱材料で覆い、また酸素と水により錆が生じるため防錆処理も必要になります。

Steel造の略でS造と呼ばれます。

骨組みの構造形式は、ラーメン構造とトラス構造があり、工場で生産される鋼材を組み合わせて骨組みを形成するものをいいます。

  • ラーメン構造:ドイツ語では「枠」「額縁」を意味し柱や梁を剛接合して直方体で構成する構造です。
  • トラス構造:三角形を基本単位として、細長い鋼材を三角形に組み合わせ、接点をボルトなどで結合し組み上げていく構造です。

●コンクリート充填鋼管構造(※CFT)とは

チューブ状の鋼管内にコンクリ―トを充填する構造をいい、主に柱に使用されます。低層から高層建築物まで幅広く適用され、鋼管にコンクリートを隙間なく流し込むことで鉄骨の特徴である粘りとコンクリートの強度を手に入れることができます。また、コンクリートが熱を吸収する力があるため、鉄骨のみに比べて耐火性能が向上するという面でのメリットがあります。

ただし、 柱と梁の接合部の内部構造が複雑になるため鉄骨の加工コストが高くなることや、充填時コンクリートが直接見えない状態となるため隙間なく充填するための品質管理における手間やコストがかかること、充填するコンクリート自体も高い流動性を得るためにコストが高くなることなどがデメリットとなります。

※Cocrete Filled Steel Tube (コンクリート充填鋼管)の略 

都市計画区域とは?

計画的に都市を建設する区域で基本的に不動産として価値がつくのは日本国土全体の25%の「平地」になります。

都市計画区域は道路や公園など都市施設が整備されていく地域で、都市計画区域外は田舎の集落のような場所となります。

都市計画区域は市街化区域と市街化調整区域に分類されます。

・市街化区域→既存市街地域も含め市街化を積極的に図る区域です。

・市街化調整区域→農地地帯など市街化を抑制する区域で原則的に農林漁業用以外の建物は建てられません。

都市計画区域は都道府県が指定します、また2つ以上の都道府県にまたがる都市計画区域は国土交通大臣が指定します。

これらは土地活用や資産価値の観点からも重要なポイントとなりますので所有者様は把握しておくことが必要です。以下サイトのiマッピーで確認することが可能です。

横浜市行政地図情報提供システム

日本の地形の特徴とは?

日本の国土面積は約37.8万km²(令和2年10月1日現在)と言われており森林と田畑が約80%を占めています。

宅地は国土の約5%程度です。地震や洪水など自然災害のリスクを考えると低地はあまり好ましくありませんが、地形の平坦な場所に大都市の大部分が立地しているのが現状です。

国土面積を地形別でみると、山地(山地・火山・丘陵など)が占める面積は国土面積の約75%になります。そして平地のうち宅地として利用されているのが約20%となります。

耕作放棄地や空き家など未利用の土地が増えてきているとはいえ、限られた土地をいかに活用していくかが今後不動産の価値を高める鍵になります。

建物の種類と構造とは?

種類は土地の地目に相当するもので、建物の現状に応じて登記することができます。不動産登記の実務上、以下のような定め方をしています。

建物の主たる用途により、居宅・店舗・共同住宅・事務所・旅館・工場・倉庫・発電所および変電所などに区分して定めて、該当しない建物についてはこれに準じて定めるようになっています。また用途が2つ以上の場合は「住居・店舗」などとなります。

構造については、登記簿に構成材料・屋根材・階数が記載されます。

例:鉄筋コンクリート造 陸屋根 3階建